皇位継承問題に関して女性天皇と女系天皇という言葉を耳にすることが多くなりましたね。
女性天皇と女系天皇について、これらは何が違うの?言い方が違うだけじゃないの?と私も思っていましが、実は女性天皇と女系天皇には大きな違いがありました。
ここでは皇位継承問題についてポイントとなる、女性天皇と女系天皇の違いについて分かりやすく説明していきたいと思います。
女性天皇とは?
女性天皇とは文字通り「女性の天皇」を意味します。
過去には十代八人いらっしゃいました。お二人が重祚されているので、八人+2回分ということで十代になります。
過去にいた女性天皇たち
過去には下記のように八人の女性天皇がいらっしゃいました。
- 推古(すいこ)天皇
- 皇極(こうぎょく)天皇、重祚されて斉明(さいめい)天皇
- 持統(じとう)天皇
- 元明(げんめい)天皇
- 元正(げんしょう)天皇
- 孝謙(こうけん)天皇、重祚されて称徳(しょうとく)天皇
- 明正(めいしょう)天皇
- 後桜町(ごさくらまち)天皇
最初の六人の女性天皇は六世紀末から八世紀後半ですが、最後の二人については江戸時代において女性天皇となられています。
このように女性天皇は十代八人いらっしゃいました。
推古天皇は皆さんも聞き覚えがあると思いますが、思ったよりたくさんの女性天皇がいらっしゃったようで驚きました。
現在のところ最後の女性天皇のお名前、後桜町という名前もなんとなく可愛い響きがあります。
女性天皇に共通すること
十代八人いらっしゃった女性天皇ですが、彼女たちに共通することがあります。
それは即位後はご結婚されず、御子も持たず、譲位以後も独身を通したことです。
これら女性天皇たちは皇統の血をひく方々ですが、女性天皇が産んだ子供が皇位を継いだことはありませんでした。
このため今とは別の王朝が誕生することなく、神武天皇以来二千数百年もの間、万世一系の皇統が存続しています。
もしも次に説明する女系天皇が認められることになれば、例えば外国人を婿にもらった皇族の女性が産んだ子供に皇位を認めることにもなり、これを今とは別の王朝が誕生してしまうことになります。
女系天皇とは?
前述の女性天皇とは違って、女系天皇とは「女性」だけを指さずに、女系天皇である男性天皇や女性天皇が皇位につくことを意味します。
女系天皇という言葉に対して、現在まで続いているのは男系天皇ということができます。
女系・男系でいうと分かりにくいですが、これを母系・父系と言い換えると少し分かりやすくなるかも知れませんね。
女系天皇という言葉はいつから使われ出した?
皇位継承資格のある男子、つまり皇統を引き継ぐ男系男子が少なくなっている現状で、これに危機感を持って非公式に研究会を平成9年(1997年)に始まりました(産経新聞より)。
その後平成16年(2004年)当時の小泉純一郎首相が女性天皇について「国民は歓迎する」と容認の姿勢を示しました。
それから皇室典範に関する有識者会議が発足し、この有識者会議では女性・女系天皇を認める内容の報告書を提出しました。
つまり女系天皇の議論が始まったのは小泉政権からのことでした。
女性天皇は昔からいらっしゃいましたが、女系天皇という言葉は最近できた言葉と言えます。
女系と男系の違い
ここで女系・男系についての呼び方ルールをはっきりさせておきましょう。
皇室典範に関する有識者会議の報告書を参考に下図を作ってみました。

初代神武天皇から男系男子のみで引き継がれた血統、つまりその人のお父さんをたどっていけば神武天皇にたどり着きます。
科学的に、もしくは遺伝学的にいうと父から受け継いだY染色体が初代神武天皇からずっと受け継がれているということです。
反対に女系で継承された場合は初代神武天皇につながらなくなってしまいます。
もちろん男系女子が皇族、つまり皇統の血を引く方と結婚して生まれた子供は男系となります。
ここまで皇位継承問題を考える前にクリアにしておくべきポイントとして女性天皇と女系天皇の違いについて書きました。
次の記事では現在の皇位継承問題についてまとめていきます。
参考文献:誰があなたを護るのか 不安の時代の皇(すめらぎ)