前回はラ・フォンテーヌの「狼と仔羊」という寓話を紹介しました。
強者に対して僕たち弱い仔羊は理由なき罪で酷い目にあってしまうよね、というような物語でしたが、今回はこの仔羊が実は強くて狼に伍することができるという物語を作ってみました。
「狼と仔羊」の仔羊が狼と伍する
仔羊がきれいな川のほとりで水を飲んでいました。
そこへ腹ペコの狼が現れて猛烈に怒り出しました。

狼さん、どうか怒らないでください。
どうぞご覧ください。ワタシが水を飲んでいる所は狼さんのいらっしゃる所から20歩も下流にあります。
ですから、狼さんの所のお水を汚すことはありません。

いいや、汚しているとも!

えーと、何かそういうデータがあるんですか?

オレが汚れてると言えば汚れているんだよ!

えーと、それってあなたの感想ですよね?

そういえば去年、お前がオレの悪口を言っていたのを知っているぞ!

ワタシは去年、まだ生まれておりません。まだお母さんのお乳をいただいている身でございます。

ふん、ならばお前の兄貴だな!

狼さん、ワタシに兄は一人もおりません。

ええい、ならばお前の身内の誰かに違いない!
まったくお前らや羊飼いやその犬らときたら悪いことばかりしやがる!

なんだろう、嘘つくのやめてもらっていいですか?

オレは分かっているぞ!これには報復が必要だ!

なんだよ〜、話の通じない狼さんだなぁ。
こちらが下手に出ればどんどんつけ上がってきやがるなぁ。
こうなったらいっちょやったるか!(脱ぎ脱ぎっ

OK、そっちがその気ならとことん付き合うぜっ
仔羊は実は、仔羊の皮を被った狼でした。

!(◎_◎;) なんだこいつ、弱い奴だと思っていたのに。
こいつを喰ってやろうと思っていたが、これではオレも無傷では済まなそうだな。

さあさあ、こっちは準備できてるぜっ

ええい、今日のところはこのくらいにしといたるわ!
狼は仔羊狼を食べることを諦めて去ってゆきました。
めでたしめでたし?
まとめると
強者は相手を仔羊だと下に見て理屈の通らないことを言ってきて、仔羊も負けずに理路整然と反論しますが、最初から仔羊を食べようとしている狼にとっては関係ありません。
一見当たり前のようなことですが、仔羊にも狼に負けない力の強さがあれば仔羊が食べられる可能性は低いでしょう。
僕たち仔羊には、理屈に合わない不条理をはね返す力が必要ですね。
おい、仔羊よ。オレの水を汚すとは何事か!
お前の罪はめっちゃ重いぞ!