クロネコヤマトのロゴマークが64年ぶりに変更になる

black cat
Photo by Helena Lopes on Pexels.com

今では当たり前のように使っている宅急便ですが,ヤマトグループのTwitterによると64年ぶりにロゴマークが変更になるということです.

先日の記事で「猫の日」に「ヤマトグループ」が「にゃマトグループ」になっていたのを紹介しましたが,今回はもう少しヤマト運輸を掘り下げてみます.

実はタイにもYAMATO UNYU (THAILAND)として現地法人があります.日本ほどではありませんが,たまにクロネコのトラックを見かけますよ.

ヤマト運輸は創業100年を超える

まずは簡単にヤマトグループの歴史を紹介します.

創業は1919年(大正8年)

view around yamato company

創業時の本社社屋周辺のスケッチ

ヤマトグループ創業100周年記念誌「100年のあゆみ」より

スケッチの中には馬で荷車を引く姿と,郵便マークの付いたトラックが描かれていますね.大和運輸と書かれた建物の一階に駐車したトラックが見えます.

東京・銀座で大和やまと運輸株式会社として創業.創業者は小倉康臣で,彼が30歳の誕生日のことでした.当時は舗装された道路も少なく,まだまだ牛馬車で荷物を運ぶ時代で,トラックの台数も全国で200台あまりでした.

しかし彼は「これからはスピードの時代だ,必ずトラックが貨物輸送の主役になる」と確信して起業したのです.

トヨタ自動車が豊田自動織機の自動車部門として設置されたのが1933年なので,その10年以上前にトラック運送業を始めていたんですね.

最初は4台のトラックから始まった

4 trucks and motor bike

創業当初のトラック(上から3台がフォード車,続いてデンビー車,ハーレーダビッドソン車)

ヤマトグループ100年史 第1章:ヤマト運輸の創業より

創業当時は4台のトラック(フォード社製1トン車3台とデンビー社製2トン車1台)からヤマト運輸は始まりました.

これを見て驚いたのですが,ハーレーダビッドソンも使っていたんですね.なぜかすごく既視感を感じたのはなぜでしょうか?タイのトゥクトゥクの原型を見ているような気がしたからでしょうか.

ヤマトの社章は桜にYの字

yamato badge

1922年秋頃から使っていた社章

ヤマトグループ100年史 第1章:ヤマト運輸の創業より

「花びら一枚一枚は社員.集まって花となり,さらに集まって木となる」様子は,社訓にある「ヤマトは我なり」という思いをシンプルに表現した良いデザインだと感じます.当時のトラックにはクロネコではなくこの社章が入っていたんですね.

タイのヤマト運輸

YAMATO UNYU (THAILAND)設立は1990年

タイにもヤマトがあるのはクロネコのトラックが走っているのを見つけて知りました.30年も前からタイにあったんですね.海外引越しサービスを主力に,海外も含めての物流サービスを行っています.

シラチャにクロネコギャラリー

yamato in j-park
J-PARK のサイトより

タイはチョンブリ県のシラチャという街にJ-PARK日本村と呼ばれるショッピングモールがあります.ボクの家からも近いので良く買い物に行くんですが,その2階にヤマト運輸があります.ここで国際引越しサービスの取次もできますよ.

TA-Q-BINサービスを開始,クール宅急便も!

TA-Q-BIN
ARAYZ より

2017年からタイのサイアムセメントグループと合弁会社 SCG Yamato Express が宅配事業を開始しました.SCG EXPRESSという名前でサービスを行っています.

当初はバンコク周辺のみのサービスでしたが現在では全国にサービスエリアを広げています.

ところでタイにはすでに,宅配便といえば KERRY というほど認知度が高い宅配業者があり,その他にも宅配業者はたくさんあります.勝算はあるのだろうか?と考えてしまいますが...

しかし SCG EXPRESS にはクール宅急便があった!このクール宅急便はタイで初めてのサービスになります.小口輸送で地方から都市部へ鮮度を保ったままの食材を届けることができるので,新たなビジネスの広げ方ができますね.

また現在のコロナ禍においては,生鮮食品をクール宅急便で宅配できれば助かる人も多いのではないでしょうか.

ボク個人としてはクール宅急便を使えば,送れる品物の選択肢が増えて助かります.というのは奥さんの両親が住む田舎へ食料を送ることがあるので,今まで送るのを諦めていた魚介類でも送ることができますね.

タイ人スタッフにも受け継がれていたヤマト魂

sd row his boat

SCG Yamato Express のSDが洪水の中,一つの荷物を配達している様子です.

ヤマトグループ創業100周年記念誌「100年のあゆみ」より

「SD」とは「セールスドライバー」の意味で,それまでは「集配員」と呼ばれていました.

ボクはタイに来て8年目になりますが,タイ人で洪水の中をここまでやろうとする人はなかなかいないと思います.いや,これは日本人(ボクも含めて)でも同じだと思いますが,困難に直面したときに,まずは出来ない理由を考えてしまうものです.

「いや,いくらなんでもこれは無理やろ.」と思いながら「いや,待てよ.こうすればいけるんじゃないっ?!」という良い意味での楽観主義が働いた瞬間だったのかも知れません.

昨年北海道でソリを引いて配達するヤマトのSDの姿の写真があり(北海道のじかんのTwitterより),感謝の気持ちがたくさん寄せられていました.

お客様のために最善を尽くすという姿,遠く離れたタイでも受け継がれているんだなと感動しました.

ヤマト運輸のロゴマーク

クロネコでおなじみのヤマト運輸のロゴマークが64年ぶりに変わるという発表がありました(ヤマトホールディングスのWeb Siteより )が,クロネコのロゴマークについて調べてみました.

ロゴマークの切り替わりはいつからか?

今年2021年4月1日からになります.子猫をくわえて運ぶという基本は変わらず,「少し変わる」ということです.

おなじみのロゴマークはいつから始まった?

小倉康臣が共感したアメリカのアライド・ヴァン・ラインズ社で使用されていたネコマーク.左はジェームズ・カミンズ氏が社長を務めていたマーケット・ストリート・ヴァン・アンド・ストレージ社のマーク.右は1948年にアライド・ヴァン・ラインズ社(カミンズ副社長)がマーケット社から,マークの使用権を得て,デザインを変えて登録したもの

ヤマトグループ創業100周年記念誌「100年のあゆみ」より

1957年,大和運輸がアメリカのアライド・ヴァン・ラインズ社と提携したことがきっかけでクロネコのロゴマークが誕生しました.親猫が子猫を大事にくわえて運ぶ様子が描かれており,これに共感した小倉康臣はこのデザインの使用許諾を得ました.

leave it and relieve

完成当時の「まかせてあんしん」のキャッチフレーズが入ったネコマーク

ヤマトグループ創業100周年記念誌「100年のあゆみ」より

実際にデザインを担当した方は清水武という人でした.

この「まかせてあんしん」のキャッチフレーズを作ったのも彼によるものです.

ロゴマークのどこが変更になるのか?

今までのものと新しいロゴマークを並べてみました.左が従来のもので,右が新しいものになります.

compare old & new

脚が2本になっている!

ボクが最初に気付いたのは「脚」でした.従来は親子とも脚が4本とも描かれていましたが,新しいマークには2本だけ,つまり両脚をそろえたように描かれています.従来の方は猫がとっとっと歩いている動きが表現されていましたが,新しいものは立ち止まってこちらをじっと見ている感じですね.

顔の輪郭線がなくなった!

新しいマークではクロネコの顎の輪郭がなくなっていますね.シンプルになった分,クロネコの顔の輪郭を頭の中で追っかけてしまいますので,かえって想像力を掻き立てます.

しっぽが短くなった!

楕円の囲いから飛び出していたしっぽが短くなって囲いの中に収まっていますね.

耳が尖ってない!

尖っていた耳の角が取れていますね.また従来のものは耳が飛び出していたのが,新しいものでは囲いに収まってます.

囲いの黒線が消えた!

黒線がなくなってシャープなイメージからマイルドになっています.従来の背景の囲いは楕円でしたが,新しいのはスーパー楕円といったところでしょうか.シンプルになりつつも温かみがましたように感じますね.

試行錯誤の過程が分かる動画が見られる

ヤマトグループのウェブサイトで今回の新しいデザインについて動画ありますよ.

クロネコの目についてもいろいろ試してみたようです.目はほんの少し角度が変わっただけですが,新しいロゴマークではより強い意志が感じられますね.

ヤマトはもう一つロゴマークを作った

新たな価値提供の実現に挑戦する事業を象徴するマークです.

クロネコグループのウェブサイトより

おなじみの「シンボルマーク」の他に,ヤマトはこの「アドバンスマーク」も作りました.

同ウェブサイトではこのマークが動的に描かれていきます.点と点が線で結ばれてやがて面になり,最後に子猫が親猫に寄り添います.

今までの点と点を線で結んだネットワークから,面で捉えたサービスに挑戦していくというような意思を表しているのでしょうか.

黄色の背景にシンプルな黒の三角形だけの組み合わせで表現された「アドバンスマーク」ですが,一見すると日本の折り紙を彷彿させるデザインですね.親子でこちらを真正面に向いた姿が頼もしいです.

まとめると

今回はヤマトグループ創業100周年記念誌「100年のあゆみ」を参考に書きました.なかなか読み応えのある記念誌でしたよ.

新しいロゴマークは全体のインパクトとしては角が取れて柔らかくなったイメージですが,親ネコがしっかり地に足をつけて子ネコを優しくくわえている様が表現されていますね.

それにしても,4月1日に一斉にトラックのクロネコマークを入れ替えるのは難しいと思うので,少しずつ入れ替えていくのでしょうか.しばらくは街角ですれ違うクロネコを見つめてしまうことでしょう.

Advertisements